2012年9月8日土曜日

耕すこと

暑さはまだまだ残っているけど、秋らしい気配がする。
季節はどこで感じるのだろう。
今の場合は多分、音と空気だろう。虫の声が変わる。空気が乾いてくる。

僕が小さな頃は金沢は夏も冬も強い湿気だった。
湿度が高いと暑さも寒さも、しつこく身にしみる。
今では金沢も乾燥している。土地特有の風土というものも変わって行く。

ダウンズタウンのことを少しだけ書く。
僕達は未来を見据えている。変わるべき時代の流れを感じている。
今の在り方が終わるまで、何となく流されていく人が多分、おおいだろう。
でも、僕達は始める。
大袈裟に大きなことを始めるのではなく、人知れず土の上を耕し始める。
気が付いた人、同じ思いを持つ人は、一緒に耕そう。
いつかその土壌が未来の地盤となる。

生き方、つながり方、幸せや価値観。
ダウンズタウンは、未来はこんな風な生き方が良いのじゃないの、
という見本になれたらいい。
人間はこんな風にも生きられるよ、ということを関わる人達で証明したい。

ダウン症の人達の感性の在り方から、メッセージをキャッチしてきた。
これを読み解く作業と同時に、共に創っていく必要がある。

何度も書いて来たが、大切なのは感じること。
今起きていることや、これから起きようとすることを。
今、僕達がおかれている状況を。
深く感じること。感じたままに動くこと。

例えば、自然界では毒があると、その近くに解毒する草があったりする。

その場にある問題の答えはその場にある。

僕達は何も持っていないが、何も出来ない訳ではない。

人のこころと向き合う場がそれを証明している。
答えはその人が持っていて、その人にしかない。
僕達は一緒に答えを見つけて来た。
何も知らなくても、何も持たなくても答えは見つけだすことが出来た。

東京のアトリエを考えても、よし子とたった2人で、生徒だけを見ていた時期がある。
目の前にいる人にひたすら向き合えば何か見えてくるはずと。

今ではたくさんの人がこの場を訪れるし、応援してくれる人や、
手伝ってくれる人。深い共感をよせてくれる人がたくさんいる。
たった2人だった時に、この状況が予想出来ただろうか。

すべての人には、その場を良くしていく力がある。
感じることと信じることさえやめなければ。

僕達はよりたくさんの仲間と、もう一度耕し始める。
10年後、確実に何かが変わっているだろう。

いろんなことを考えてないで、恐れていないで、待っていないで始めよう。
耕し続けることに答えがあるだろう。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。