2012年10月24日水曜日

出会いは真剣勝負

昨日は風も雨も激しかったが、今日は良く晴れて気持ちいい。
さて、お知らせです。
月刊誌GQに作家の高橋源一郎さんが、
アトリエ・エレマン・プレザンのことを書いています。
これまでの取材中心の記事とは違って、ご本人がアトリエを訪れ、
感じたことを書いて下さっています。
是非、お読みいただいてアトリエの空気を感じて下さい。

今週の金曜日(10月26日)にNHK第一放送「すっぴん」の、
源ちゃんの現場というコーナーでもアトリエのことをお話して下さるそうです。
こちらも、是非、お聞き下さい。

色んな形で、
ダウン症の人達の感性が注目されていくことに繋がって行けばと思います。

昨日のプレでハルコが外を見ながら、
何度も何度も「夢っぽいなあ」とつぶやいていた。
外の景色は、強風と雨と急な日射しで怪しげな淡い雰囲気。
ハルコのつぶやきを聞きながら景色に溶け込んでいくと、
本当にどんどんどんどん、夢の中にいるような感覚になっていく。
前に夢の中のような感覚になることが重要だと書いた事がある。
その時に、夢のような感覚とは現実感のないことではないとも書いた。
場を見るとき、細部を明晰に見過ぎない方が良いという話もした。
全体をぼやっと捉えると。
この2つ全体を固定せずにぼやっと捉えていることと、
夢の中にいるような感覚を持つことは、
言ってみれば創造的な場を創るための極意のようなものだ。
全体をぼやっと捉えることは、ぼーっとする事ではないし、
細部を見逃すことでもない。
夢の中にいるような感覚も、現実離れしたものではない。
あくまで自覚を持っていることが必要だ。
私達は普段、自分で作り上げてしまった世界の中でがんじがらめになっている。
知らず知らずの内に、自分も他人も制限して抑えている。
こんな状態では自由など想像もつかない。
抑えているものを全部取り払って裸になっていく為には、
ここで言う全体をぼやっと捉えることと、
夢の中のような感覚が必要だ。
それは自由にこころを動かす為のプロセスでもある。

ところで、最近も色んな方とお会いしているが、
人との出会いというのは本当に大切だ。
残念ながら、こういう活動をしていて、
深く通じ合える人と出会えることは滅多にない。
先日は久しぶりに、そんなお付き合いをさせていただいている方と再会した。
その数日後にはフラボアとの打ち合わせで、
デザイナーの佐々木さんとお会いした。
深く理解し合える方とは多くはお話しないが、大事なことはすぐに共有出来る。
そういう方とお付き合い出来る事は本当にありがたい。

普段着の付き合いみたいなことも良いけど、
やっぱり大切な人とはある程度、自分を引き締めてお会いしたい。
少しの緊張感は大事だと思う。
僕は出会いを大切にしたいから、出会いに備えることを忘れたくない。

僕がお会いする人の多くは、その後、
アトリエやダウン症の人たちに関心を示して下さる。
その可能性は自分次第でつながるどうかが決まってしまう。
長い間付き合っていけば、理解し合うことが出来るだろう。
でも、今の社会では時間は限られている。
どんな人とでも付き合っていくという風には出来ないだろう。
だから、真剣に仕事している人ほど、相手を見極めようとするし、
ある意味で付き合うにたる人間かどうか試しても来る。
出来る人ほど、相手がどのあたりの意識で動いているのか、
確かめ、確認しようと敏感になる。
その一回の出会いがすべてだ。そのとき、通じ合わなければおしまい。
あるいは、甘く見ていたり、こちらへの誤解や、認識に間違いがあった場合、
それを変えてもらえるかどうか、というところも重要になってくる。

試して来た方ほど、その後、ご理解いただいた時は、
深い関係になれる。

今でも思い出すとそんな方が数人いた。
勝負を恐れず、しっかり挑んでよかったと思っている。

もし、僕と会ったとき、こいつはつまらないなと思われてしまったら、
その後、ダウン症の人たちや活動に興味を持ってはくれない。
こいつ結構面白いなと、思っていただければ、
どんなことなのかな、と興味を持ってもらえる。
やり直しは出来ないのだから、勝負に備え、出会いに備えて挑むことが大事。

しっかり準備ができていれば、お互いにこの人はここを見ているな、
ということが通じて、深く繋がって行ける。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。