2013年2月20日水曜日

どこまでも

昨日は少し雪が降っていた。
今日は良く晴れたけれど、相変わらず気温は低い。
でも、こうしているうちにすぐに春がくるだろう。

今日もみんな元気。
ハルコは少し眠そうで、時々思い出を話す。
懐かしいなあ。
あんな事があった、こんな事があったと。
「ハルコ、佐久間さんこと卒業したね」とつぶやいている。
ああ、そういえばそうだな。
ハルコがドキンちゃんとか稲垣君とか、
いろんな人達に気持ちを向けていく前は、
ずっと「佐久間さんことすき」だった。

成長とともに関わる人も増えていく。

こうして、みんなとの関係も変わっていく。

今、ハルコともアキともてる君とも、
思い出を語り合える関係になれていることが素晴らしいことだと思う。

僕達は一緒に過ごしてきたし、一緒にたくさんの経験をしてきた。
一緒に成長してきた。
そして、一緒に場を創ってきた。

今日はだいすけ君もご機嫌だった。
ゆうすけ君は新しくスケッチブックに描き始めた。

アキさんは制作に関しては絶好調だ。

プレの時間は手伝ってくれている、
あきこさんとみんなとの関係もとても良い感じ。

しばらく前の話だけど、
水曜日のクラスが終わって自然に机を土日のクラスように片付けていると、
稲垣君が「佐久間さん。木曜日とか金曜日はこの部屋使わないんですか?」。
「うん。教室以外ではここへはあんまり入らないかな。」

こんな会話があった。

場の話を良く書くので、これも書いてみよう。
教室以外の時間は僕はこの場所に入らない。
入らないようにしている訳ではないが、なぜか入れない。

みんながいて初めて場になる。

誰もいないその場所に入ろうとするとはじかれる感じもある。
それと、空気感というか、場に対する敬意を保ちたいという気持ちもある。

きっちりと場に入るためには、場からちゃんと離れることも必要だ。
場と自分との距離が大切だ。

場との関係に自分なりのルールを作ることで、
場に入った時の心構えが変わるし、
場に入った瞬間に適切な動作が出来るようになる。

僕自身は場の中では完全に自分を捨てる。
自分を忘れるし、自分のことなんて考えることはない。

だから自由だ。
身体もこころも軽い。

場は楽しいし、そこではすべてが明晰に見える。
場と一つになり、場の呼吸を感じると、
宇宙の鼓動が聴こえてくるような感覚になる。

ここに場があって、ここにみんながいて、すべてが繋がっている。

僕達は前へ進む。
あるいは奥へ奥へと向かう。
誰も避けようとも、逃げようともしない。
みんなで行く。どこまでも行く。
そこには始まりも終わりもない。
ただひたすら、歩いていく。

これからもずっとすっとそうしていくだろう。
そして、あらゆる瞬間に全く新しい何かが現れ、
僕達に教えてくれる。僕達を導いてくれる。

人のこころと、場への信頼さえ持っていれば、
恐れも迷いもない。
歩み始めたら、立ち止まることはない。
意味とか目的とか価値とか、
そんなとってつけたようなもののことはとっくに忘れてしまった。

ただ、どこまでも深く、どこまでも遠く行くだけだ。
いつでもワクワクしながら。

共有してくれる沢山の仲間に出会えていることに感謝だ。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。