2013年11月29日金曜日

現場魂

あえて、ちょっと泥臭いタイトルにしてみました。

いやー、寒いですねえ。
このパソコンのある部屋は暖房がきかないのでジャンパー着て書いてます。
風邪も流行ってきているようです。
皆様もお気をつけ下さい。
この時期はこの場も注意が必要になってくる。
アトリエでは免疫の弱い人も多いので、
もし風邪をひいたら他の人への配慮もお願い致します。
軽い場合は必ずマスクを、辛そうな時は無理をせずにお休みしてください。
特に長時間一緒に過ごしている平日のクラスの方達、ご注意下さい。

年末はやっぱり忙しくなってしまって、
このブログもなかなか更新出来ずにきてしまった。
その間にたくさんのことがあったので、書くべきテーマもたまってしまった。
まあ、でも焦らずにいきたい。

ゆうたの喘息が出てしまって、入院でよしこは大変だった。
肇さん、敬子さん、三重のみんながいてくれて本当に有り難い。
文香ちゃんも帰って来ている時期で心強い。

居てくれるということが、何よりありがたいことだとつくづく思う。

先日は本当に久しぶりに、共働学舎の悦子さんと電話でお話しした。
毎年、クリスマス会のご案内を頂くのだが、仕事で行けない。
悦子さんの声を聞くと安心する。
あれから長い時間がたっているのに、そんなことはふっと忘れて、
あの頃に戻って行く。
「大丈夫なの?みんな心配してるよ」
と言ってくれると、全然大丈夫なのに、
「うーん。なんとかギリギリやってますよ」と甘えてしまう。
子供の話になって、「あなたに似てせんが細いかもよ」と言われる。
え、僕ってそんなだったっけ、と思い出すと悦子さんにはずいぶん甘えていた。
こっちでは誰からも弱い人間だとは思われていないんだけどなあ。
むしろ逆なんだけど。
でも、ずっとそんな風に見ていてくれる人が居ると力も緩む。

さて、ちょっとわざとらしいタイトルにしたのだけれど、
やっぱり原点。なによりも制作の場を真剣に守って行きたいと思うこのごろ。

今度は女子美でお話することになっているが、
近頃は美術大学にヒーリングや表現を通しての関わりをテーマにする学科も増えた。

社会の流れを見ていても、障害を持った人達に何らかのアプローチで、
関わって行こうとする人達が増えて来たし、増やそうという動きもある。

僕自身はずっと関わって来た人間として、伝えて行かなければならないと感じる。
強い責任感を持って、本気で学び、関わろうとする人を育てたいとも思っている。
今は曖昧な形で何も知らない人が教えていることも多い。

これまで書いて来たように、僕の仕事は2つある。
1つはダウン症の人たちの未だ知られていない可能性の世界や、
豊かな文化を伝え、触れてもらうきっかけをつくること。
これまではこっちをどちらかと言うとメインにして来た。
でも、もう1つ大切なことがあって、
それは関わること、関係の中で一人一人のセンスを引き出すという、
現場での具体的な仕事をしていく人材を育てて行くこと。

長くなるので今回はさわりしか触れないが、
僕は関係性において個人のこころの中にあって、
外に現れていないその人の本当の部分を引き出して行く、
ということを自分の仕事として来た。
こういうことは僕が始めた頃、まだジャンルとして成立していなかったし、
今でもはっきりとしたジャンルは確立されていない。
僕がこのことを自覚して動き出した頃、
誰も参考にする人も居なければ、助言を与えてくれる人もいなかった。
ただ、数人の人が、お前のやっていることは仕事と呼んで良い、
と個人的に認めてくれるのみだった。

関係性において何が生まれて来るのか、
関わることで何が変わるのか。
経験を積めば積む程、関わる人間によって、内面にある何ものかが、
出て来るのか、出て来ないのかが決定することは明白になった。
そこには勿論、才能や技術も関係してくる。
努力もおおいに必要となる。
勘は最も大切なものだが、勘だけではなく、鉄則や法則もある。
仕組みはむろんある。

これからの為に僕は自分の知っていることは教えて行くつもりだ。
今、2人程、教えている。
この2人が、関わることで相手から良いものを浮かび上がらせて行く、
ということが出来るように、それを仕事としていけるようになってほしい。

いずれは、僕達のやっているようなこともジャンルとして成立することだろう。
指導でもなければ、セラピーでもヒーリングでもない。
教育でもない。
でも、関わることで本質的な何かが生まれる。
そういう関係を作る仕事。

このアトリエだけでなく、外にもそういう人材を育てる為に伝えて行く。

その為に、これまで20年近く、
内面的探求に関してはたった一人でやって来た部分を、
言葉にしていく必要もあるかもしれない。
メソッドやマニュアルには出来ないけれど、
ただ感覚だけでやって来たわけではないので、残せるものは残したい。

そんなことを考えていたりするが、
実際の場を守って行くことが一番大切なので、ゆっくり進めるしかない。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。