2014年4月18日金曜日

何も無い場所

一度だけだけど行ったことがある宿。
山の中、森に囲まれているけれど、そんなに特別な景色は無い。
土地に対して建物は本当に小さい。
とにかく静かで素朴そのもの。

たくさんの場所に行って来たし、たくさんのものを見聞きして来た。
その中で最も理想に近い場所がそこにあった。

何にもないのに素晴らしい場所とか、
何もしないのに充実している時間とか、
人生に本当に必要なのはそんなことだと思っている。
そして、自分もそんな場所を創りたいと思う。

人や物で言うなら素の状態。
シンプルを極めて行くことは難しく深い。

アトリエでも重要なのは、一人一人がその場にしっかりと居るということだ。
ただ、そのままでその場にいる。
それだけで他の何も要らないくらいに充実している。

茶道のお茶が触媒にすぎないように、絵はあくまで触媒だと思う。

場所全体が生きていて、一人一人が居るだけで満たされる。
これからもそんな場を目指していきたい。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。