2014年7月7日月曜日

志村ふくみ

2日間とても良い場があって、作品もいつになく光っていた。
その前の週もかなり良かったり深かったりしたので、
1ヶ月ほどこの流れが続いていた。

エネルギーが溢れるように湧き出て来る時でも、
流れの良い時はどこか遠いところから見ているような感覚になる。
どうも作家達もそういう瞬間があるみたいだ。

とてもクリアで明晰で、瞬間に敏感に反応出来ているのにぼーっとしている感じ。

深い場が続く時はやはり眠りが深い。何の夢も見ない。何の記憶もない。

昨日は眠ったというより、気を失っていた。
気がつくと朝。
その前までのすべてが消えて、スッキリする。
ここからはまた新しい。

そうだテレビを見た。
途中からだったが素晴らしかった。
日曜美術館の特別編だったのだろうか。
染織家の志村ふくみが特集されていた。
全部良かったから、何処がとは言えないけど、やっぱり色って凄いなと思う。
色は命だし宇宙だし、人間のさかしらを超えた何かなのだと、
そしてそれを言葉ではなく肌で知っている人なのだと感じた。
志村さんのような人こそ、何かを知っている人だ。

志村さんの言葉や姿や、
そして染めた着物が背景の自然と一体化している場面に感動。
あの音楽は何とかならないのだろうか。
あんな「感じ」とか「雰囲気」とは全くかけ離れた本物が目の前にあるのに。

最も印象に残ったのは、というかもっと自分が分からなければならない、
と感じさせられたのは、
「人間よりも植物の方が位が高い」という言葉だ。

記憶だけで書いているので間違っているかもしれないが、
志村さんはそのように言っていた。
欲と言ったのだったか我欲だったか、
とにかく、そういった小さな頭や意識の世界に生きている人間に対し、
植物はただただこの宇宙の摂理に忠実に、ひたむきに生きている。
その営みの厳粛なる姿。

志村さんは本当に植物を尊敬している。

このように書いても、
志村さんのぽろっと出て来る言葉の豊かさに届くどころか、
擦りもしないのが残念だが、実際にご覧になられた方はその世界に触れたと思う。

制作の場に入る時、僕達にも必要なのは我を離れ、
自然界や宇宙の摂理に忠実であること。
遥か先を見ておられ、歩いておられる方々が居る。
及びもつかない。
でも、どれほど遠くても、目指すものが遥か彼方であろうと、
今歩いている道が間違っていないことだけは確かだ。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。