2014年9月12日金曜日

美しい佇まい

昨日は雨にも関わらず、多くの方にご来場頂いた。

有り難いなあ、と思うことが沢山ある。

書きたいことは色々あるが、もう少し落ち着いてから纏めたい。

今日はこれから明日のアトリエの準備をしてから会場へ向かう。

昨日の夜、そして今日寝起きから音楽を聴いた。
田中希代子のピアノが今の僕には響く。

尊敬している珈琲屋さんの味を、
清潔で奇麗で、心も身体も洗われるようだ、と書いた。

田中希代子の演奏も同じことがいえる。

あまりに真っすぐ過ぎて驚く。

田中希代子はストイックだ。ただ、何故こんなに心を打つのだろう。

これだけ真っ正面から何かに挑むことは、今の時代難しい。

逃げない、感傷に浸らない。
凛とした佇まい。芯の強さ。
正しい姿勢。
揺るぎない確信。

一つ一つの音が決然として前の音を断ち切って行く。

確かに遊びもおおらかさもない、ある意味で一面的な音楽だ。
でもそれで良いんだと思わせられる。

人は何もかもを手に入れることは出来ない。
ある決断をするとは他を諦めることでもあるはずだ。

勇気をもらうとはこういうことを言うのではないか。

破綻のない端正な、そしてちょっと硬い音楽。
完璧主義が窮屈に感じる人もいるかも知れない。

完璧しか目指せない彼女のような人が必要なのではないか。

正しさとは何かを教えてくれる音楽だ。

自分の中に無駄なものがいっぱい付いて来たと感じた時、
僕は田中希代子の音を聴きたくなる。
真っすぐに前を見ようと思う。

まぎれもない音楽がそこにある。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。