2014年9月29日月曜日

やっぱり凄い高倉健

土、日曜日のアトリエもイサとゆきこさんが、
良い場にしてくれていると思う。
仕上がった作品を見てそう感じている。

次の土日から僕がアトリエなので、
一番多くお客様がおみえになる週末に、
会場に居られるのはこれが最後ということで昨日も一日居ました。

ここへ来て来場者数もグンと増えている。

9日におこなった公開制作と15日の講演会の反響も、
僕のところまで届いている。
終わったことをああ良かったと振り返るのではなく、
多くの人が今想いを持って下さっていることが嬉しい。

いつも書くことだけど、本当に人には恵まれているし、
有り難いとしか言い様がない。

夜はなるべく休んでおこうと他のことを考える。
あれこれCDを取り出して来て聴いている。

昨日の夜、帰って来て何を聴こうか、と思いながらも、
何気なくテレビをつけた。
「あなたへ」という映画が丁度始まるところで、
見ようと思った訳ではないのに最後まで見てしまった。
素晴らしかった。
ストーリーは単純と言うか、もっと言えばありきたりで陳腐なものとも言える。
それなのに感動するのは高倉健という役者の力だ。
他の役者もかなり良かったけど高倉健の前では霞んでしまう。
いや大滝秀治だけは圧倒的な存在感で高倉健すら圧倒していた。

ただ立っていたる高倉健。後ろ姿。ふーっと息をする。つぶやく。
歩く高倉健。じっと想いに沈む高倉健。
どの場面も深い。
たくさん生きてたくさん経験して、良い意味で耐えて来なければ出来ない佇まい。
どの場面も人生の味わいの深さを感じさせる。

高倉健は小細工をしないからある意味でワンパターン。
またそれ、と思う時もあったけど、今は有無を言わさない凄みに達している。

言葉にならない想いを身体が表す。

色んなことがある、全てのことが刻まれていって、
やがて一つの味わいとなって行く。

進んで行かなければ見えて来ないものがある。

だんだんと色んなものが見えて来るようになると、
言葉にできることは少なくなって来る。
外に表さないでじっと内省してきた経験が高倉健の佇まいに現れている。

同じところに戻ってきてしまうが、
やっぱりこの世界は素晴らしいものであると思う。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。