2014年10月14日火曜日

木漏れ日が心地良い。

今日は平日のクラスがあるので昨日から台風を心配していた。
東京はもうぬけたようでほっとしている。
風はまだあるようだが大丈夫でしょう。

葉っぱから水が垂れていて、乾いた柔らかい日差しがあたって、美しい。

日曜日もとてもとても集中した制作となった。
一人一人の良さが出ていて、やっぱりこの時間は何ものにも代え難い。

確かな、狂いのない現場というものがある。
正確な点をしっかりうっている自覚。

スタッフとして、イサもかなり成長した。

自戒の意味もあって、家族やプライヴェートの話題はあんまり書かない。
毎日、ゆうたの写真を見ていると時間が経ってしまう。
今月はよし子もゆうたも体調が悪くて、次から次へと病気があったが、
大分落ち着いて来た。
この前は電話で
「ぱぱあ、マンボウ温泉行こう。マンボウって可愛いよねえ。マンボウは
噛まんよねえ。マンボウは歯がないもんなあ。マンボウ温泉って気持ちいいよ。」

頑固で一筋縄では行かないところがある子だけど、
本当にやさしくて、いつも見せる気遣いには驚いてしまう。

時々行く定食屋さんがある。
先日、僕の隣に仲の良さそうな親子が向かい合って座った。
お母さんと小学校低学年の男の子。
見つめ合う感じがあたたかい。
お母さんがやさしく話しながら見守っている。
男の子は子供にしてはゆっくりゆっくり食べる。
お母さんを見上げて「痒くなってきた。」と言った。
「これ、駄目かあ。じゃあこっち食べな」
2人は別の会話をしながら、また楽しそうに食べ始めた。
男の子はお母さんに気づかれないように足を掻いている。
お母さんも気づいているけど、他のことを話している。

涙が出そうになってしまった。

「すいません。失礼ですけど、食物アレルギーですか。」
「そうなんです。」
「うちの息子もなので、ちょっと声をかけてしまってごめんなさい。」
「今、おいくつですか」
「もうすぐ3才になります。」
「大きくなったら、普通に食べられるようになりますよ。」

少しだけお話しした。
男の子がとてもやさしそうだったのが印象的だった。

日曜日のアトリエで、誰かが何かを言う度に鳥が「ピーッ」と返してきた。
午後近所の家からピアノの音が聴こえてきた。
はっとした。バッハのイギリス組曲。
そのとき、晴れ渡った景色も制作中の作品もあまりに美しく、
バッハの音楽が芯の部分で聴こえてきた。
こんなに素晴らしい音楽だったのか、と。

夜、家にあるCDで聴いてみたけど、予想通りもう聴こえなかった。
経験は掛け替えのないもの。
一度しかないもの。

それは日々の制作の場でも同じだ。
だから、僕らはそこでの経験を大切にする。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。