2015年12月3日木曜日

脱皮中

皆さんこんにちは。
冷え込んできましたね。

ようやくブログ更新します。
12月で区切ることに決めたので、本当に残り少ない時間となってしまいました。

今年も女子美術大学でお話しさせて頂きました。

そして、12月19日より日本橋の三重テラスにおいてミニ展示を行います。
トークも予定しています。
http://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/201511039420.pdf

あと何回くらい更新出来るのだろうか。

これまでのブログを少し思い出してみると、それは場に関する物語だった。
場が僕に見せたもの、場が僕に伝えたこと。

場は円を描き、その円はぐるっと回り閉じられて行く。
そんな気がしている。
ここで書いて来た全ての情景は今も鮮やかに思い出すことは出来るが、
同時に過ぎ去って行って過去となった。

これからまた新たな物語が始まることだろう。

これからも場に立ち続けることだろう。
でもそれはこれまで語って来たこととは違っているだろう。

最近、特に自分自身のことを意識したり考えたりするようになった。
そして、自由になった。
身体も気持ちも変化している。

皮が一枚一枚剥がれて、目から鱗が落ちて行く。

場に出会った頃から重要な使命と責任を背負って来た。
その道に進むために、かなり自分を改造して来た。
気がつけばサイボーグのようになっていた。
それが嫌なのではなく、一つの答えだと思って来た。
そして、今でも間違っていたとは全く思わない。
サイボーグと化さなければ出来ないことがあったから。
でも、その先があったことがようやく分かった。

人の心をずっと見て来た。
どんなに人が自分を制限し限界を作っているのか。
どれだけ自分で自分を縛っているのか。
無駄なものをとって行って削いで行って、本来の自由を知ってもらう。
それが僕の仕事だった。

場に立てば、当然人の心も自分のこころも明晰に見える。

でも日常生活ではそうはいかない。
いざ自分の人生となれば、手に負えない。

人のことは見えても自分のことは見えていない。

そこに気がついた。

力が抜けて、解放された。
長い時間の間で改造された部品を一つづつ取り外して、
何も無い元の状態に戻って行くプロセスを実感している。

一つのサイクルが閉じようとしている。
僕はより自由で新鮮な眼差しでかつての自分や場を味わっている。

脱皮はまだゆっくりと進行している。

これから仕事の上でもどんな風に変化して行くのか分からないけれど、
一言で言えば、もっと深い安心感や開放感を描写出来るようになれるかも知れない。
場においても。

現場でも他のことでも最終的には、ああ、大丈夫だなあとか、
すっと抜けると言うか、そういう隙間を作るために存在出来るのが理想。

生きていると言うこの現実、命や世界は本当に深い。
その深さをちょっと感じようよ、ということで、
それが出来たらもっと色んなことや人に優しくなれるはず。

人間に必要なのは、この場にいてどれだけ充実感を持てるかということだ。

人も世界も本当に深くて素晴らしいもの。
もっと見て、もっと感じよう。それを単純に実行するのが一つの現場なわけだ。

今度の土、日曜日クラスもそんな時間になって、
終わってみれば煌めくような作品に囲まれ、みんなの笑顔が溢れている、
そんな景色が見られれば良いと思うし、
僕達はいつでも響き合ってその場所まで行くだろう。

書いている人

アトリエ・エレマン・プレザン東京を佐藤よし子と 夫婦で運営。 多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。